一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ
一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ発刊のご案内
本シリーズは、法学および国際関係学に関心のある人に、その全体像を手軽に把握してもらうことを目的として発刊しました。このシリーズで扱われるトピックは、多様化する国際紛争、人工知能の発達、ダイバーシティなど現代世界の諸課題から、法学および国際関係学分野の古典的な諸課題に至るまでさまざまです。本シリーズを通じて、読者は法学および国際関係学を大学で本格的に学ぶための基礎を固め、また現代社会を生き抜くうえで必要な法学および国際関係学の基本的な教養を身につけることができるでしょう。
本シリーズでは、読みやすく分かりやすい記述を重視していますが、その内容があくまでも各分野の第一線で活躍する研究者の学識に裏打ちされたものでなければならないことは大前提です。それゆえ本シリーズは、いわば見本市のように、一橋大学大学院法学研究科・法学部の研究力を社会に示すものであり、またその研究成果を社会に還元するものでもある、ということができます。
本シリーズはこれから毎年1巻のペースで全5巻を刊行する計画です。本シリーズが多くの読者に愛され、多くの読者にとって法学・国際関係学に親しむきっかけとなることを願っています。
第1巻『教養としての法学・国際関係学―学問への旅のはじまり』刊行のご案内
一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズの第1巻は、『教養としての法学・国際関係学―学問への旅のはじまり』です。各分野の第一線で活躍する21名の研究者が、それぞれの専門分野を「一橋大学法学部に合格した高校生が入学前の春休みに読むことを想定して」執筆しました。これから自分たちが責任を持って法学・国際関係学を基礎から発展応用まで教えなければならない、しかし、まだ入学前で高校までの授業しか受けたことがない、そのような読者を思い浮かべながら、本書は執筆されました。結果として本書は、法学部への進学を考えている高校生や、法学・国際関係学に関心のある他学部生・社会人にとっても魅力的なものになったのではないかと自負しています。
本シリーズの第2巻以降では、本書の各章を独立した巻として内容をさらに広げ、また掘り下げたものとしていく計画です。どうぞご期待ください。
第1巻 目次
プロローグ
1 法学を学ぶために・・・青木人志
◆忍耐から喜びへ
2 国際関係学を学ぶために・・・山田敦
◆世界と自分をつなぐ
パート1 実定法と社会
1 憲法・・・平良小百合
◆憲法の視点から考えるということ
2 行政法・・・野口貴公美
◆行政法を楽しむ方法 ――行政法を学ぶと社会はどう見えるのか
3 民法・・・石田剛
◆財産と家族に関する根本規範
4 民事訴訟法・・・杉山悦子
◆多様な紛争解決制度の一つとしての民事訴訟の現在と将来
5 刑法・・・本庄武
◆法は犯罪にどう向き合うのか ――刑法に独自の法原則が存在する理由
6 刑事訴訟法・・・緑大輔
◆犯罪発生予測と政策、そして法
7 会社法・・・酒井太郎
◆私たちの隣人、会社について深く考える
パート2 ビジネスローの最前線
1 労働法・・・櫻庭涼子
◆近年の立法・解釈の展開
2 租税法・・・吉村政穂
◆「簡素」の原則と複雑化する租税法
3 知的財産法・・・井上由里子
◆価値創造を促進する制度的インフラ
4 リーガルイノベーション・・・角田美穂子
◆Society 5.0に相応しい司法を考えるための法学――まだどこにもない「レクチャー」の舞台裏
パート3 現代国際社会と政治
1 国際法・・・竹村仁美
◆国際社会の法を学ぶための想像力
2 国際私法・・・竹下啓介
◆国際社会における裁判を受ける権利の実現
3 国際安全保障論・・・秋山信将
◆国内社会と国際社会はどう違うのか
4 国際政治経済学・・・市原麻衣子
◆現在の国際政治を理解するために
5 国際関係史・・・クォン・ヨンソク
◆アジア主義と日本外交のオルタナティブ
パート4 法と社会
1 西洋法制史・・・屋敷二郎
◆法と法律 ――ヨーロッパの法文化を理解するために
2 中国法・・・但見亮
◆日本との関わり、という視点から
3 法哲学・・・安藤馨
◆法に関する様々な概念を分析する
エピローグ
◆法学・国際関係学への旅の扉・・・屋敷二郎
書誌情報
一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ刊行委員会 編
『教養としての法学・国際関係学:学問への旅のはじまり』
国際書院、2024年2月
ISBN: 978-4-87791-327-4