情報をうのみにせず、自分の力で考える

憲法(統治機構) 渡邉康行教授

 憲法は中学校・高校でも学んでいますから、法律科目のなかでは最も馴染みのあるものでしょう。実際、法学部生は1年前期にほぼ全員がこの授業を履修していますし、他学部の学生も多数受講しています。そのため法学入門的な役割を引き受けることになり、専門用語については憲法分野以外であっても簡単に解説しています。また六法の条文を引くといった、法律学の学習のために不可欠な習慣を身につけてもらうことにも注意を払っています。
 憲法が実際にどう働いているかを知るためには、判例の学習がとにかく必要です。その点は他の法律分野と共通なのですが、憲法学の特徴は、判例分析だけではなく、争点の背後にある民主主義・立憲主義に関する考え方の違いなど、より大きな理論的問題にまでさかのぼろうとすることにあります。憲法問題に関する報道・解説などの情報をうのみにせず、自分の力で考える。その基礎をつくることが、憲法の授業の目的です。法曹界に進む学生はもちろん、民間企業や官公庁に進む学生も、基本法のなかの基本法である憲法を学び、それぞれの持ち場で活かしてほしいと考えています。(談)

 

 

HQ vol.37より転載