間違いを指摘されて嬉しい、
学ぶ喜びを共有する場所

基礎法・比較法ゼミ 青木人志教授

 今ゼミで使っているテキストは、WERNER MENSK『Comparative Law in a Global Context』で、1回に40〜60ページ読みます。オーソドックスなヨーロッパの比較法学では、極東法などは刺身のつま扱いですが、この本ではヒンドゥ、イスラム、アフリカ、中国法を扱っています。アジアの扱いが大きいので、我々には切実感があります。たとえば中国の「礼」や「道」という概念と、ヨーロッパ大陸のローマ法とを、同じ比重で比較し考えるという議論は興味深いものです。ゼミは、授業2コマ3時間をつなげ3、4年生が一緒に行います。4年生の志気や刺激し合う姿勢が3年生にも伝わり、志高いゼミになっています。難しい本ですから私が誤読して学生に指摘されることもあります。それは私にとっては嬉しいことですし、学生も自分の指摘が私に受け入れられると喜びます。ゼミは間違えてもいい場所です。訂正されることでお互いの理解が深まっていくからです。読み進んだところが手あかで黒ずむのが、目に見える達成感であり、誇りなんですね。英文を毎回40ページ以上読むのを承知でゼミに参加している学生ですから、知的基礎体力がある自慢の学生揃いです。このゼミで確実に伸びるのは幅広い法的リテラシーと英語力。法解釈学をゼミでやらなくても余力をもって司法試験に受かった卒業生が複数いますし、ベンチャー企業に就職して20代にして執行役員になった人もいます(談)

 

 

HQ vol.33より転載