国際シンポジウム HCCH Judgments and Jurisdiction Projectを開催しました
国際シンポジウム HCCH Judgments and Jurisdiction Projectを開催しました
11月1日(金)、一橋大学法学研究科主催(法務省・国際私法学会後援)で「Hitotsubashi Symposium : HCCH Judgments and Jurisdiction Project 」と題する国際シンポジウムを開催しました。日本は、ハーグ国際私法会議(HCCH)の活動に1904年から参加するようになり、今年、2024年は参加120周年となることから、記念国際シンポジウムとして開催しました。
初めに、一橋大学とHCCHの協力協定の調印式が行われ、中野聡一橋大学学長とChristophe Bernasconi HCCH事務局長が署名をした協定書を取り交わしました。その後両者から、協定締結についてお祝いのメッセージをいただきました。
続いてFusto Pocarイタリアミラノ大学名誉教授の基調講演が行われました。講演のタイトルは、「Past, Present, and Future of the Judgments and Jurisdiction Project」であり、ハーグ国際私法会議で約30年間進行している国際裁判管轄・外国判決の承認執行に関する条約作成プロジェクトについて、2005年の管轄合意に関する条約(管轄合意条約)、2019年の外国判決の承認及び執行に関する条約(判決条約)の締結の経緯といった過去を振り返りつつ、国際訴訟競合・関連訴訟の条約案の作成を行っている現状を分析と共に、将来においては、個別分野における国際裁判管轄・外国判決の承認執行を包括的に規律する条約を作成するプロジェクトの実施が望ましいとの提言がありました。
その後、Ronald A. Brand教授(米国ピッツバーグ大学)、Mary Keyes教授(オーストラリアグリフィス大学)、Norel Rosner博士(EU委員会)、Malcelo De Nardi教授(ブラジルUNISINOS)、Qisheng He教授(中国北京大学)の5人のパネリストを招き、「Expectations for 2005 COCA Convention, 2019 Judgments Convention, and the Jurisdiction Project」と題するパネルディスカッションを行いました。各パネリストからは自国・地域における管轄合意条約、判決条約に関する動向が紹介されると共に、管轄プロジェクトで作成される将来の条約も含めて、国際的な司法協力にとってのこれらの条約によって形成される枠組みの重要性について、議論がされました。
会場にはHCCH作業部会に参加した各国政府代表、法務省関係者をはじめ、国際私法に携わる研究者や法曹関係者が約80名集まり、シンポジウムは盛会のうちに終わりました。
なお、今回のHCCHとの協定の締結により、今後一橋大学の学生がHCCHでインターンシップを受ける機会が提供される予定です。