一橋大学大学院法学研究科法学部

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外部評価報告

はじめに

 一橋大学大学院法学研究科は、2000年度以降ほぼ3年を目途に、自己点検評価書である「一橋大学大学院法学研究科教育研究活動報告書」を作成し公表したうえで、外部の識者による客観的な評価(いわゆる「外部評価」)を受けてきた。これまでに2001年3月と2007年6月に外部評価書を公表しており、今回が3回目の外部評価書の公表ということになる。それぞれの外部評価書には時代の流れの中で大学が置かれていた当時の状況が如実に反映されており、外部評価委員の問題点の指摘および提言にも特色がある。今回の外部評価を受けるにあたって、どのような問題状況が本研究科を取り巻いていたのかを簡単に説明しておくと、時期的には、2004年4月の法科大学院(正式には「法学研究科法務専攻」)の設置および2005年4月の国際・公共政策大学院(正式には「大学院国際・公共政策教育部国際・公共政策専攻」)の設置を経て、それぞれに教育および研究活動に一定の進展がみられ、その成果を検証する時期に当たっていたということができる。現象的には、上記の専門職大学院への教員シフトおよびそれに伴う研究者養成ルートの変更(研究者養成を従来 の修士課程を経由した博士後期課程に委ねるのではなく、法科大学院を経由して博士後期課程に入学するルートを基本とした変更)の結果、日本人学生の研究大学院への進学者が激減し、法学研究者の養成が危機的になっていたということができる。これと連動して、本研究科固有の問題として、博士後期課程の定員充足率が5割を大きく下回る状況が数年にわたって継続し、定員削減が重要な検討課題となっていたのである。

 こうした状況の下、本研究科では、同じ問題状況を共有している外部の識者の方々から忌憚のない意見を聴く必要があると考え、以下の諸先生に外部評価委員をお引き受けいだいた。

石崎誠也(新潟大学大学院実務法務研究科教授、同研究科長)
関 武志(青山学院大学大学院法務研究科教授)
岡 正晶(弁護士、元第一東京弁護士会副会長、東京大学大学院法務研究科客員教授)
古城佳子(東京大学大学院総合文化研究科教授、日本国際政治学会理事長)

 外部評価委員の先生方には、以下の資料を事前に送付し、お読みいただいたうえで、2011年10月31日にヒアリング調査を実施した。ヒアリングの際の質疑応答の記録は本報告書に資料として添付してある。

  1. 一橋大学大学院法学研究科教育研究活動報告書2010
  2. 一橋大学大学院法学研究科教育研究活動報告書2006(前回分)
  3. 一橋大学大学院法学研究科外部評価書2007(前回分)
  4. 一橋大学法科大学院年次報告書(平成22年度)
  5. 「第1期中期目標期間の業務の実績に関する評価結果」からの「法学部」および「法学研究科」に関する部分の抜粋

 外部評価委員の先生方からは、「評価」という表現には一定の基準を前提にした価値判断をするというニュアンスがあり違和感を覚えるので「意見」の交換という意味で委員を引き受ける、あるいは、一橋大学法科大学院を始めとする本研究科の教育・研究活動が成果を収めていることの秘訣を「学ぶ」というスタンスで委員を引き受けるといった大変謙虚なお言葉を頂戴した。今回、資料として本報告書に添付したヒアリング調査の反訳文にもこうした外部評価委員の先生方の謙虚な姿勢が反映されているが、本研究科の願いも、基準適合性を問題とする認証評価とは異なり、問題点と処方箋につき「ざっくばらん」な意見交換を目的としていたので、ヒアリングは大変意義深い意見交換の場となった。その結果、各外部評価委員の先生方からいただいた個別の『意見書』には、各先生の問題関心に従った課題の析出と珠玉の提言が盛り込まれている。(なお、本報告書においても『外部評価報告書』という表記を踏襲したが、これは本研究科の第2期中期目標・中期計画に基づく年度計画に登場する用語であるので、諸先生方には本研究科の意向を汲んでいただき了承していただいたものである。)

 多忙な業務の中、膨大な量の自己点検評価書『一橋大学大学院法学研究科教育研究活動報告書2010』および関連資料を読み込み、ヒアリング調査と実地視察に参加されたうえ、適確な課題の指摘と改善のための建設的な提言をまとめてくださった外部評価委員の先生方に、改めて、心からの感謝を申し上げる次第である。今後は、この貴重な提言をうけて、本研究科がどのように対処するかの次のステージに移行することになるが、その実現に向けて最大限の努力をすることをお約束して、外部評価委員の諸先生方の期待に応えたいと考えている。

2012年(平成24年)3月
一橋大学大学院法学研究科長 村岡 啓一