一橋大学グローバル・ロー研究センター創設記念セミナー「中国ビジネス法務と腐敗・不正──転ばぬ先に学ぶ法、転んだ時に生かす法──」を開催

一橋大学グローバル・ロー研究センター創設記念セミナー「中国ビジネス法務と腐敗・不正──転ばぬ先に学ぶ法、転んだ時に生かす法──」を開催

 2017年2月6日(月)、東京都千代田区一ツ橋の学術総合センター中会議場で、国際セミナー「中国ビジネス法務と腐敗・不正──転ばぬ先に学ぶ法、転んだ時に生かす法──」が開催されました(プログラム)]

 

 

 本セミナーは、近年、贈収賄や不明朗な取引慣行その他に対する厳格な規制・処罰方針を中国政府が打ち出し、それが規制当局により網羅的かつ着実に執行されているという現状を踏まえて、中国で事業展開する日系企業が知っておくべき最新情勢と対応策を、理論と実務の両面から提供しようとしたものです。

 

 葛野尋之法学研究科長の挨拶の後、王雲海教授による基調講演が行われ、各論として三つのセッションが展開されました。報告者は尾崎道明弁護士(瓜生・糸賀法律事務所)、韓晏元弁護士(天達共和律師事務所)および張和伏弁護士(同)、そしてディスカッサントを張青華弁護士(同)、大矢一夫氏(公正取引委員会)および島田英樹氏(日本貿易振興機構)が務めました。司会進行は酒井太郎教授が担当しました。

 

 

 

 

 

 

 

 セミナーの各セッションでは、(1)贈収賄行為に関する規制原理の国際比較を通じて、なぜいま中国でこれほど厳しい反腐敗運動が展開されているのか、また腐敗防止に向けた国際的な取り組みの中において、中国の姿勢はどのように位置づけることができるのかを学び、(2)これまで何気なく依拠してきた取引慣行に、今日いかなる危険が潜んでいるのかを知り、そして、(3)他山の石として、これまでどのような摘発事例があり、それに対する焦眉の問題として、関係者はいかにして身を律しつつ、円滑に事業活動を展開していかなければならないのかを考えていくという、立体的かつ重厚な議論が展開されました。

 

 本セミナーの企画は企業関係者の高い注目を集め、定員150名の会場が満席となる盛況ぶりでした。また、長時間の行事であるにもかかわらず、参加者は真剣に報告・討論に耳を傾けていました。締めくくりとして、青木人志・一橋大学中国交流センター代表による閉会挨拶が行われました。

 

 

 なお、本セミナーは、共催団体である天達共和律師事務所(北京市)の全面的な支援を受けて企画・実行されました。天達共和律師事務所は、中国のきわめて有力な総合法律事務所であり、クライアントである多数の日系企業(その中には著名企業も多く含まれます)に対して広範かつ高度に専門的な法務サービスを提供しています。そして一橋大学との間では、本セミナーに代表される学術的・実務的交流のほか、ロースクール学生の研修受入れなど、多方面に及ぶ緊密な協力関係を結んでいます。