教員インタビュー

髙井 章光(たかい あきみつ)客員教授

高井総合法律事務所 代表パートナー弁護士

略歴

東京大学法学部卒業。弁護士(第二東京弁護士会)。司法試験考査委員[倒産法]、日弁連中小企業法律支援センター事務局長、第二東京弁護士会倒産法研究会代表幹事等を歴任。第二東京弁護士会仲裁センター仲裁人候補者、全国倒産処理弁護士ネットワーク理事。2022年4月より本専攻特任教授、2024年4月より本専客員教授。

ゼミ担当分野 民事訴訟法・倒産法

担当授業 「ビジネス紛争処理法」、「倒産関係法」

──これまでの経歴を教えてください。

父が弁護士でしたので、子どもの頃から1つの仕事として意識しつつ見てきました。やはり法律分野に関わろうと大学法学部に入りました。司法試験に合格後に弁護士、裁判官、検察官、それぞれなる資格を得られますが、最も事実、社会に近づける場で仕事をしたいと思い、弁護士を選びました。大手の事務所からスタートし、小規模な事務所に移ってから企業側の仕事だけでなく、その対局にある薬害訴訟など人権分野の仕事にも携わる経験を得ました。現在、仕事に占める割合は、企業法務的な案件、裁判案件、それ以外の事業再生案件などがそれぞれ3割ずつといったところです。

──ご専門分野とそこでの最近の話題について教えてください。

主な専門分野は倒産法です。取引や倒産法に特有な担保処理の問題もあれば、知財や労働の問題などさまざまな問題が交錯した、法律問題の縮図ともいえる分野です。緊急性が求められるなか、自ら解決方法を探りあて、明確な応えが帰ってくる時は仕事の面白さを味わえます。最近の話題としてはこれから倒産という局面を迎える会社が多くなると思われることです。新型コロナウィルスにより企業活動が制限され、公的資金が投入されましたが、既に返済困難な状況に陥り始めている会社は少なくありません。いかに救済し、再生させるかという問題が生じています。もう一つ最近の話題としては、裁判件数が増えているなかでADRのような裁判所以外の解決方法が注目されていることです。ビジネス紛争ですと裁判では時間がかかったり、白黒しか付けられない面があり、ADRによる解決の需要が高まっていますが、倒産の分野においてもADRとしての私的整理が広範に活用されてきております。ビジネス紛争の世界においても、倒産の分野においてもADR(私的整理)か裁判(法的整理)か、どちらを使い、どう解決していくかは今後重要になってくると思います。

──ご担当の授業について教えてください。

「ビジネス紛争処理法」と「倒産関係法」の2つを担当しています。会社には紛争処理の担当部署があります。紛争が表面化した場合、解決方法はいろいろあるのですが、詰まるところ早めの発見と対応、そして予防で成り立っています。学生の皆さんは、ご自身の研究テーマとして関わっているビジネス領域において紛争が起きた場合、どう対応するかという視点で考え、比較しながら学んでいただけると、より実感と深みのある授業になるかなと思っています。倒産については、いろんな局面や手法がありますので、網羅的かつ縦断的に解説することにより、法律問題についての対応を深く考えながら面白さを知っていただける機会にしたいと思っています。

──お休みの過ごし方について教えてください。

街を歩くのがけっこう好きです。例えば週末には少し遠くの本屋さんに足を延ばしたりしています。法律関係の本は仕事がらみでない限りはあまり休みの日には読みません。推理小説とか、全く別の分野の専門的な新書などタイトルで面白そうなものがあれば手に取ります。でも“積ん読”になる本もありますね。関東近辺でプチ旅行もします。古墳とか城跡などに行き、歴史を再発見して楽しんでいます。

──学生さんや入学を検討されている皆さんに向けてメッセージをお願いします。

私の授業ではそれぞれ分野の入り口からご案内します。その入り口から先にまだかなりいろいろな世界が見えてくるはずなので、積極的にいろんな所を覗いて幅広くビジネス法を体験していただくと良いと思います。本校では、いろんな先生がいらしていろいろな講座が設けられていますから、多面的な見方ができて、異なるテーマにも興味が拡がっていくことでしょう。そのような講座の一つに私の授業もしたいと思っています。私自身、大学生時代にたくさんのゼミを取り、多くの先生方と密に交流させていただいたことが現在の自分のベースになっています。ゼミではそれぞれ考えの違う学生さんたちが熱く議論を闘わせることによって化学反応が起こるような機会を作りたいですし、それを楽しみにしています。