教員インタビュー

生貝 直人(いけがい なおと) 教授

一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻教授

略歴

慶應義塾大学総合政策学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。東京大学附属図書館新図書館計画推進室・大学院情報学環特任講師、株式会社情報通信総合研究所研究員、東洋大学経済学部総合政策学科准教授等を経て、2021年4月より本専攻准教授。2022年9月、本専攻教授。

ゼミ担当分野 情報法

担当授業 「情報法概論」、「デジタルビジネスと法」

──ご経歴について教えてください。

私が大学に入学した2001年は、インターネットが急速に広がるなか、情報技術がビジネスそして社会を大きく変え始めた時期でした。新たに登場したサイバー空間において、これまでの物理的な世界とは異なるルールをどう作っていくのか。私はそれを確立するためにアカデミックな勉強を一環して行ってきました。東京大学の大学院では情報に関わる法律とビジネスの関係をテーマに博士号を取得。民間のシンクタンクや情報通信総合研究所に勤務するなど産業界での経験を積んだ後、大学に戻り、教員としてデジタルの法や政策を3年ほど教え、2021年、本専攻に着任しました。その間、内閣官房やデジタル庁、経産省など、さまざまな政府の審議会などで法政策形成にも携わってもいます。

──ご専門分野と、そこでの最近の話題について教えてください。

私の専門は情報法で、「情報に関するさまざまな事象を法的にどのように規律していくのか」を研究するものです。21世紀に入る前後からインターネットが普及し、個人がさまざまな情報を発信できる力を得たのと同時に負の側面としてさまざまな権利侵害、違法有害情報、プライバシー侵害といった問題が発生しています。今まさに話題となっているのがデータ、プラットフォーム、AIという3つのキーワードです。インターネットを中心とする世界の急激な変化の真っただ中でこれらをどのようにルールとして規律し、産業界はどのように対応していくのかが問われているのです。

──ご担当の授業について教えてください。

私の担当授業は「情報法概論」と「デジタルジビネスと法」です。「情報法概論」では、情報法の基本的な概念である表現の自由、プライバシー、違法有害情報への対応といった基盤になる部分をまずしっかり学んでいただこうと思います。また先端的なトピックについて国内外の法制の状況を取り上げていきます。ITプラットフォーマーであるGAFAがグローバルにサービスを提供しているなかで、国際的な側面を大前提として学ぶことは必須です。動きが激しい分野であるがゆえに、世の中でどのようなことが起こっているのかを知ることが何より重要です。

──ゼミの様子について教えてください。

情報法について国内外の最先端の文献を用いて比較的少人数で密な議論を行います。院生の方はさまざまな経験をお持ちです。先端的の知見をそれぞれ持ち寄りながら勉強を深めていく。そんなコミュニティを本格的に作りあげたいと考えています。産業界や政府の方などさまざまなゲストの方を積極的にお招きして、産官学のハブとして存在するようなゼミをイメージしています。

──お休みの過ごし方について教えてください。

趣味といえば食べ歩きでしょうか。本学のキャンパスは都心にあり、周辺には食べ物の店が充実しています。私は比較的近い地域に住んでいるので、地の利を活かし、休日にはカレーとかラーメンなどB級グルメ系の食べ歩きを堪能しています。院生の皆さんにも最新のグルメ情報をお伝えできますよ。

──学生さんや入学を検討されている皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。

インターネットを中心とする世界において“光”の部分は増やしつつ、“影”の部分に企業として社会としてどう対応していくのか。本専攻でそれを研究していく時に、社会人の皆さんが現実のビジネスあるいは施策を行うなかで培ってきた経験や問題意識は何にも増して活かされるはずだと考えています。産業界や政府の動きが時流の最先端にあり、アカデミアはそれを追いかけていく側面があるからです。あらゆることが動き続ける分野です。そのニーズは間違いなく高まっています。リカレント教育の場としてご自身の経験と知見をさらに深めながら視野をより広げ、新しい世界を切り拓いていただきたいと思います。