入学者に関する受入れ方針(アドミッション・ポリシー)

 

 一橋大学大学院法学研究科法務専攻(法科大学院)は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、以下のとおり入学者選抜を実施します。

1.求める学生像

 本法科大学院は、「ビジネス法務に精通した法曹」「国際的な視野を持った法曹」「人権感覚に富んだ法曹」という3つの資質を兼ね備えた法曹を養成することを目指しています。そして、本学のカリキュラムは、そのような法曹の育成に資するよう体系的に構築されており、本学の学位は、そのような法曹としての能力と資質を涵養した者に対して授与されることになります。そこで、本学では、次のような資質・知識・能力を持つ多様な人材を受け入れたいと考えています。

(1)豊かな人間性・感受性を持ち、現代社会における公正な法の運用において、指導的役割を果たそうという高い志を有している人材
(2)社会における課題を発見し、自分に備わっている基礎的な知識・技能と創造力を活用して、その解決を図るために粘り強く取り組むことができる人材
(3)問題解決のために必要となる思考力・判断力、表現力を有する人材
(4)自己の主体性を保ちつつ、多様なバックグランドを持つ人々とコミュニケーションを交わし、協働して学ぶ姿勢がある人材
(5)国際的な視野と、英語による授業に対応できる基礎的な力を身につけている人材

2.入学者選抜の基本方針

  本法科大学院は,以下の(1)~(3)を入学者選抜の基本方針としています。

 

(1)公平性・開放性・多様性を確保する。

 本法科大学院は、法科大学院制度が法学に純化した学修者だけでなく、広く人材を受け入れることを理念としていることに鑑み、入学者選抜において何よりも、公平性・開放性を重視しています。出身大学や学部、専門の如何を問わず、全国の有為の人材を求めます。

 

(2)法律学の基礎的な学識を有する者とともに、多様な知識・経験を有する者を受け入れる。

 法は、社会のあらゆる分野に及んで、人の生活に関係しています。公正な法の運用は、複雑化した現代社会においてますます重要性を増しています。他方で、法の扱う対象も、法の体現すべき正義も、利害関係の対立も、時代とともに動いていきます。正確な法律学の学識ある者が求められるのはもちろんですが、このような状況において、法曹としての的確な活動が期待されるとき、必要なのは、現時点における細かい知識の豊富さよりは、時代を超えて維持されるであろう、また、維持されるべきである基礎的な学識であり、その応用力です。また、扱う領域が広いこと、他方で、専門化が進む社会において法律家にも専門性が求められる場面が増加すること等を考慮すると、多様な知識・経験を土台として有する人々が、法的知識・技能を身につけることが重要だと考えられます。

 本法科大学院は、このような考え方に基づき、問題意識をもって丁寧に法律を学んできた者と、法については素人であるが、それぞれの分野での知識を蓄え、経験を積んできた人々を広く求めています。

 

(3)社会人・他学部出身者の入学を促進する。

 本法科大学院では、(1)に掲げたような公平性に留意しながら、(2)に示した理念を体現すべく、社会人としての活動実績を適確に評価するように工夫し、他学部出身者についても、各人がそれぞれの分野で取り組んだ学業の成果(学業成績)を法曹としての学修の土台として適切に評価するように努めています。

3.「学力の3要素」の多面的・総合的な評価方法

(1)評価方法

 法学未修者については、「一般選抜」を実施しています。英語の成績による第1次選抜の合格者に対して、第2次選抜を行います。第2次選抜は、小論文試験の結果と、第1次選抜の成績・自己推薦書・学業成績の審査結果を総合して行います。そして、第2次選抜の合格者に対して、第3次選抜として面接試験を行い、面接試験の結果と第2次選抜試験までの結果を総合して最終的な合格者を決定します。

 

 法学既修者については、「一般選抜」と「5年一貫型教育選抜」を実施しています。「一般選抜」では、英語の成績による第1次選抜の合格者に対して、第2次選抜を行います。第2次選抜は、法学論文試験(民事法〔民法・民事訴訟法〕・刑事法〔刑法・刑事訴訟法〕・憲法)の結果と、第1次選抜の成績・自己推薦書・学業成績の審査結果を総合して行います。そして、第2次選抜の合格者に対して、第3次選抜として面接試験を行い、面接試験の結果と第2次選抜試験までの結果を総合して最終的な合格者を決定します。「5年一貫型教育選抜」は、「一橋大学法科大学院(法学研究科法務専攻)と一橋大学法学部法曹コースの法曹養成連携協定」に基づき、本法科大学院の教育課程と接続し、効果的で一貫した教育を目的とした一橋大学法学部の教育課程における教育を受けた者に対して、法学既修者の入学者定員枠の一定数を、論述式の試験によらない評価方法によって選抜するものです。具体的には、英語力・学業成績・自己推薦書・面接試験の結果を総合評価して最終的な合格者を決定します。法学既修者については、本法科大学院2年次の授業に参加しうる水準にあると評価できる者を合格者とします。

 

(2)「学力の3要素」と評価項目の関係

 

入試区分

入学者選抜方法

知識・技能

思考力・判断力・表現力等
の能力

主体性を持って多様な人々と
協働して学ぶ態度

未修者

英語の成績

 

小論文試験

 

自己推薦書

学業成績

 

面接

既修者
(一般)

英語の成績

 

法学論文試験

 

自己推薦書

学業成績

 

面接

既修者
(5年一貫型教育選抜)

英語の成績

 

自己推薦書

学業成績

 

面接