3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー

共通

一橋大学は、伝統のある社会科学の研究総合大学として、広い視野を有し、新しい問題領域の解明に積極的に取り組み、広く経済社会に貢献する人材を育成してきました。

ビジネスローの分野においては、社会のグローバル化・法化が急速に進み、企業活動・取引に伴う法的問題の解決にあたって、国際的な視野を備え、かつ高度なビジネスロー運用能力が必要とされています。現代社会で活躍する法曹・法務人材には、こうしたグローバル・ビジネスローの発展に精通し、新たに生起する法的課題に対応する能力の修得が求められます。

これらを踏まえ、ビジネスロー専攻は、ビジネスローの分野において国際的な視野と戦略的思考能力を身に付け、幅広い分野において活躍できる法曹・法務人材の養成を図ってきました。

修士課程

修士課程では、ビジネスロー分野における高度専門職業人として身に付けるべき基礎的な能力として、(1)ビジネスローに関する幅広く深い知識の修得、(2)国際的な視野の獲得及び(3)知識を実践に生かす応用的な研究能力の修得を目標としています。具体的には、修了後には、ビジネス上の複雑な法的課題を解消し、グローバルな経済環境で新たに生じる問題にも解決の道筋を見出せる法曹・法務人材として活躍できる知識・能力を身に付けることが目標です。

この目標に応じて、2年以上在学し、講義科目22単位(うち必修2単位)以上、演習8単位以上、合計30単位以上を修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、本研究科が行う修士学位論文又はリサーチペーパーの審査及び最終試験に合格した者に対して、修士(経営法)の学位を授与します。なお、修士論文については、ビジネスローに関する理論と実践の架橋や新しい理論的な研究を目指したものであることが必要です。リサーチペーパーについては、現実的な課題の分析、実践的な解決策の提示に重点を置くものとしています。

博士後期課程

博士後期課程では、学生が実務における経験から得た着想を学術理論に結びつけ、従来の研究者養成型の博士論文とは異なる新しいタイプの論文を完成させることで、ビジネスロー研究の多様化という観点から学問的に貢献することを目標としています。そのため、具体的には、(1)実務においてそのテーマの第一人者として認められる知識の修得及び(2)ビジネスローに関する理論を実務に生かし、又は新しい理論的成果を生み出す研究能力の修得を目標としています。そして、実務での議論をリードするのみならず、実務と理論を結び付ける存在として、大学における法務教育の担い手となることも期待しています。

この目標に応じて、3年以上(法科大学院修了者については2年以上)在学し、講義科目6単位(うち必修2単位)以上、演習12単位(法科大学院修了者については8単位)以上を修得し、かつ必要な研究指導を受けた上、本研究科が行う博士学位論文の審査及び最終試験に合格した者に対して、博士(経営法)の学位を授与します。なお、博士論文については、ビジネスロー専攻の博士課程での研究にもとづき、ビジネスローに関する理論と実務の架橋を実現するような論文や新しい理論的な進展をもたらす論文で、博士(経営法)にふさわしい学術的な価値を有するものであることが必要です。

カリキュラム・ポリシー

修士課程

ビジネスロー専攻修士課程では、 (1)ビジネスローに関する幅広く深い知識、(2)国際的な視野、(3)知識を実践に生かす戦略的・応用的な研究能力を備えた法曹・法務人材の育成を目標としています。こうした能力を身に付けるべく、以下のような体系性を有したカリキュラムを提供しています。

さらに、特定分野での専⾨性を⾼めるため、「知財戦略プログラム」と「グローバル・ビジネスロー・プログラム(GBLプログラム)」を設置しており、修了者には、プログラム修了証(サーティフィケート)が授与されます。

知財戦略プログラムは、知的財産法に重点を置き、知的財産法の科目を集中的に学ぶものです。知的財産法関連の科目をはじめ、知的財産法と密接な関係を有する情報法関係の科目を学ぶことで、知財戦略に精通した法曹・法務人材を育成します。

GBLプログラムは、英語で実施される授業を含め、国際的に活躍する法曹・法務人材に必要な教育を行うものです。特に、英語科目では、英語で意見発表・議論する機会が豊富に与えられるほか、海外の協定校との交流による交換留学生・科目等履修生が参加し、文化的な多様性が確保されたクラス環境が用意されています。また、交流協定に基づく短期留学の機会が開かれています。

なお、提供するカリキュラム及び学修成果については、外部の実務家や士業団体によるアドバイザリー・ボードを設置し、その評価や意見交換を基にしたカリキュラムの点検・評価を定期的に行うこととしています。ビジネス環境の変化に対応し、ビジネスロー専攻の教育目的に合致するように、科目の新設や教育内容の見直し等を行います。

第1に、多様な層の学生が参加することに鑑み、各学生の知識・ニーズに応じて教育目標を達成するために、各法分野の基礎を体系的にカバーする「基本科目」と、分野横断的・応用的な性格を有する「発展科目」を提供しています。基本科目の履修によりビジネスローに関する基礎的な理論の修得を目指すとともに、発展科目の履修によって、ビジネスローに関する最先端の知識の修得とその実践を意識した学修を行います。発展科目には、最前線で活躍する実務家による実践的な科目が数多く含まれています。

基本科目では、体系的な理論・知識の修得に重点を置いた教育が行われます。これに対して、発展科目では知識の実践・応用に重点を置き、ケーススタディやグループ・ディスカッションといった教育方法が多く用いられます。

こうした科目配置を前提に、指導教員の助言に基づいた履修計画によって、各学生の専門性を拡張し、かつ段階的に理解を深める履修プログラムの構築が可能となっています。例えば、学生の業務・経験と疎遠な法分野については、1年次に基本科目、2年次に発展科目といった履修計画により段階的な理解を促し、すでに十分な知識を有する法分野については、1年次に発展科目を受講するといった形で、各学生のバックグラウンドに応じた、ビジネスローに関する幅広く深い知識の修得の涵養を目指します。

また、経営管理研究科金融戦略・経営財務プログラムの講義科目(演習等一部科目は除く)やイノベーション研究センターの一部講義科目を履修することができます。金融や経営実務のほか、イノベーションのマネジメントに関する知識や理論の修得によって、ビジネスローの知識・理論をより幅広く活用する力になります。

第2に、研究指導にあたっては、研究者教員のみならず、実務経験の豊富な実務家(弁護士など)が特任教員として指導にあたり、理論と実践を架橋する研究への取組みをサポートします。例えば、1年次の必修科目である「ビジネスロー総合問題」において、研究計画のプレゼンテーションに基づくディスカッションが行われますが、専門の異なる複数の専任教員が参加するため、理論と実践の両面から助言・指導が実施されます。

また、論文執筆にあたっては、1年次・2年次を通じて研究テーマに適合した教員の演習に所属し、当該教員(指導教員)から専門的な見地に基づくきめ細かな指導を受けるとともに、専門を同じくするゼミの学生同士で切磋琢磨して学びを深めることになります。

博士後期課程

実務経験又は実務的な問題関心を研究論文に結び付けるため、「演習」を中心とした、指導教員によるきめ細かな指導が行われます。ただし、博士論文執筆には幅広い知識が必要ですから、研究テーマや学生のバックグラウンド等を踏まえ、指導教員の助言に基づいた授業科目の履修が望ましい場合もあります。

また、GBLプログラムに関連する科目の履修を推奨し、世界で通用する知識・能力を涵養することも期待されます。

アドミッション・ポリシー

共通

一橋大学は、新しい問題領域の解明に積極的に取り組み、広く経済社会に貢献する人材を育成してきました。特に、ビジネスロー専攻は、国際的な視野を備え、かつ高度なビジネスロー運用能力を備えた法曹・法務人材の育成を担っています。

法学は、法の適用と論理による問題解決を目指す学問ですから、論理的な思考力に基づき、精確なロジックを構築する能力が必要不可欠です。そして、ビジネスローに携わる法曹・法務人材は、新たなビジネスの発展に伴う諸課題を解決し、その展開を支援する役割を担っています。そのため、ビジネスローの修得にあたっては、新たなビジネスモデルや技術発展に興味を持ち、積極的に課題に取り組む主体的な態度が前提となります。さらに、企業活動・取引がグローバル化する中で、国際的な視野を備え、英語によるコミュニケーション能力を高めることも重要になってきています。

また、ビジネスロー専攻は、社会人に対して実践的・先端的なリカレント教育を行い、高度な専門知識・能力を備えた法曹・法務人材を育成することを使命としています。

以上のことから、ビジネスロー専攻は、次のような能力・経験を備えた学生を受け入れたいと考えています。(1)論理的な思考力・表現力、(2)ビジネス上の課題を法的に分析し、その課題を具体化・言語化する分析能力を備えていること、さらに(3)企業、法律事務所、特許事務所などにおいて企業法務、知的財産業務及びそれらの関連業務に従事した経験を有していること(又は法科大学院を修了したこと)の3つです。また、英語教育を希望する学生については、(4)英語による意見発表・議論ができる能力があることが望ましいと考えています。

そのため、入学者選抜にあたっては、それまでの実務経験等を記載した志願理由書とともに、実践的な問題意識に基づいた研究計画書の提出を求めています。こうした書類を基に、論理的な思考力・表現力を試し、また新たな課題に対応する能力を図るために口述審査を実施します。

博士後期課程

博士後期課程では、さらに博士論文の作成が見込めるか否かを重点的に審査します。過去に執筆した修士論文等の論文を参照し、論文作成に必要な基本的能力を確認するとともに、博士論文の執筆に必要な、実務における経験から得た着想を学術理論に結びつける構想力を有するか否かを審査します。