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研究報告要旨
更新日:2007/11/08
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【 2007年度セミナー「東アジア法研究の現状と将来」のご案内 】


このセミナーは、一橋大学大学院法学研究科・中国人民大学法学院・釜山大学校法科大学による アジア研究教育拠点事業「東アジアにおける法の継受と創造―東アジア共通法の基盤形成に向け て―」(2007-2011)の初年度のメイン企画として開催されるものです。

・日程:11月17日(土)~18日(日)
・場所:一橋大学・東キャンパス1号館 (一橋大学へのアクセスおよび一橋大学のキャンパス・マップはこちらをご覧下さ い)
・全体テーマ:「東アジア法研究の現状と将来」
第1日(17日)のテーマ:「法継受・法創造についての研究の現状」
第2日(18日)のテーマ:「伝統的法文化の比較研究――共通法形成に向けて」
・主催:一橋大学大学院法学研究科、中国人民大学法学院、釜山大学校法科大学
・共催:一橋大学21世紀COEプログラム「ヨーロッパの革新的研究拠点」、アジア法学会(第 1日目)

なお、第1日目の終了後、一橋大学構内にて懇親会を予定しております。

1.趣旨
本事業(2007-2011)は、「東アジア共通法の基盤形成」に向けて、「東アジアにおける法の継受と創造」を研究テーマとするものです。最初の年にあたる2007年度は、本問題に関する研究の到達点を明らかにするとともに、そこに孕まれている問題点を整理し、今後の研究のあり方についての提言を試みることを課題とします。
セミナーは2日間にわたって開催されます。第1日目のテーマ「法継受・法創造についての研究の現状」は、事業名称の主題をなす「東アジアにおける法の継受と創造」にかかわり、第2日目のテーマ「伝統的法文化の比較研究――共通法形成に向けて」は、副題の「東アジア共通法の基盤形成」にかかわるものです。
(1)第1日目テーマ:「法継受・法創造についての研究の現状」

ここでいう「法の継受」は、近代における西欧型近現代法の継受のことであり、法典・法律の継受とともに、学説の継受も含みます。日本を例にとるならば、19世紀末頃の民法典を始めとする諸法典の継受とともに、それ以降、今日に至るまで間断なく持続している個別立法や学説の継受の総体が問題となります。そして、「法の創造」とは、以上のような意味での「法の継受」を起点として展開した、立法、判例、学者や実務家による法学ないし法理論の展開などの総体を指します。
第1日目は、以上のような意味での「法の継受と創造」という現象についての研究の歴史と現状について、批判的に総括するとともに、「法の継受と創造」研究の新しい方向を模索することを課題とします。

(2) 第2日目テーマ:「伝統的法文化の比較研究―共通法形成に向けて―」

本事業の究極の課題をなす「東アジア法の基盤形成」を模索するためには、その大前提として、東アジア各国(さしあたっては、日本・中国・韓国の3国)それぞれの伝統的法文化を学問的に認識するための比較研究が必須となるという認識のもとに、第2日目のテーマ設定がなされました。ここでいう伝統的法文化とは、過去の遺物たる法文化ではなく、今日においても、継受された西欧型近現代法が各国において展開するに際して、これに様々の形で影響を及ぼすところの、各国の非西欧的な伝統的法文化のことです。
比較的考察は、対象に即していうならば、(1)東アジア法と西欧法との比較、および、(2)東アジア内部での比較が、視点としては、1.共通性、および、2.異質性の2側面への着目が課題となります。共通性が問題となるのは、何よりも、共通法の基盤形成のためには、なにがしかの共通部分の存在が前提となるからでありますが、しかし、それとともに、異質性にも目を向けなければなりません。法の共通化の阻害要因となる異質性を直視することによって、共通法の形成が比較的に容易ないし可能な領域と困難な領域とが、学問的に明らかになってくると考えられるからです。
第2日目は、以上のような問題意識をもって、「伝統的法文化の比較研究」に関する到達点と問題点を明らかにし、今後の研究のあり方を模索することを課題とします。

2. プログラム

(1)第1日目「法継受・法創造についての研究の現状」(11月17日)13時30分〜17時30分
場所:一橋大学東キャンパス1号館
司会:青木人志
報告者およびテーマ
宇野文重・林真貴子「日本における法継受・法創造についての研究の現状と課題」
馮玉軍「中国における欧米法継受の研究の到達点」
朱芝弘「韓国民事法の継受と創造」
(2)第2日目「伝統的法文化の比較研究―共通法形成に向けて―」(11月18日)9時30分〜17時30分
場所:一橋大学東キャンパス1号館
司会:山内進、青木人志
報告者およびテーマ
水林彪「アジアの伝統的法文化に関する研究の現状と問題点——日本の場合——」
姚 輝「中国の伝統法文化と欧米(日本)民法の影響」
文竣暎「韓国における伝統法文化研究の現状」
屋敷二郎「ヨーロッパの共通法(ユス・コムーネ)経験と東アジア」


3. 報告者・コメンテーター・司会者紹介

(1) 報告者
[中国]
姚輝(中国人民大学法学院教授、民法)
中国民法学会理事。東京大学大学院法学研究科研究員(1998-2000)。
主要著作は、『人格権法』(1998)、『民法精神』(1999)、『民商法司法解釈精粋』(2004)

馮玉軍(中国人民大学法学院副教授、法理学)
中国法理学会理事。ハーバード大学、コロンビア大学客員研究員などを歴任。 中国歴史中における法律と物語』(2007)、『法経済学研究』(2007)

[韓国]
朱芝弘(釜山大学校法科大学助教授、民法)
カルフォルニア大学バークレー校ロースクール客員教授(1998-1999、フルブライト奨学金)。「契約変更の比較的研究」(2007)、『ヨーロッパ民法の漸進的出現』(2004)

文竣暎(釜山大学校法科大学助教授、法制史)
韓国法史学会研究理事、京都大学人文科学研究所外国人共同研究者(2000〜2001年)。「米軍政期における法院組織法の立法過程」(2005)、「韓国検察制度の歴史的形成に関する研究」(2004)、「帝国日本の植民地型司法制度の形成とその拡散」(松田利彦・浅野豊美編『植民地帝国日本の法的構造』信山社、2004)
[日本]
宇野文重(一橋大学日本法国際研究教育センター非常勤研究員、日本近代法史)
日本学術振興会特別研究員(2004~2006)。「東京地裁廃戸主判決における「家」と戸主権」(林屋礼二他編『明治前期の法と裁判』、信山社、2003)、「廃戸主制度における『家』と戸主権」(『法制史研究』52号、2002)。博士論文『わが国近代家族法における「家」原理の展開』(未公刊、2004)

林真貴子(近畿大学法学部准教授、日本近代法史)
ロンドン大学SOAS客員研究員(2005〜2006)。『統計から見た明治期の民事裁判』(共編著、信山社、2005)、「民事訴訟法——民事訴訟に関する史的研究を中心に」(石川一三夫ほか編『日本近代法制史研究の現状と課題』弘文堂、2003)、「勧解から督促手続への変化—最も利用された紛争解決制度の考察」(『法制史研究』48号、1999)

水林彪(一橋大学大学院法学研究科教授、日本法制史)
法制史学会代表理事、日本学術会議連携会員。『封建制の再編と日本的社会の確立』(山川出版社、1987)、『天皇制史論』(岩波書店、2006)、「歴史学的概念としての〈封建制〉と〈郡県制〉」(張翔ほか編『封建郡県再考』思文閣、2006)、「「社会体制と法」の歴史理論ー「「近代経験」と体制転換」の歴史的パースペクティブー」(『社会体制と法』6号、2005)

屋敷二郎(一橋大学大学院法学研究科准教授、西洋法制史)
法文化学会理事・事務局代表(2004~)。日本学術振興会特別研究員(1994~1997)、ケルン大学近世私法史研究所客員研究員(1995)、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学生としてフンボルト大学法学部客員研究員(2006~2007)。『紀律と啓蒙―フリードリヒ大王の啓蒙絶対主義』(1999)、監訳ピーター・スタイン『ローマ法とヨーロッパ』(2003)、『概説西洋法制史』第1・2・16・18・19章(勝田・森・山内編、2004)、Emilie Kempin Spyri (1853-1901) (1)(2) Hitotsubashi Journal of Law and Politics Vol.33-34 (2005-2006)

(2) コメンテーター
井上達夫(東京大学大学院法学政治学研究科教授、法哲学)
今井弘道(北海道大学大学院法学研究科教授、法哲学)
岩谷十郎(慶応義塾大学法学部、日本近代法史)
國分典子(筑波大学大学院人文社会科学研究科教授、韓国憲法・法思想史)
鈴木 賢(北海道大学大学院法学研究科教授、中国法・台湾法)
高見澤磨(東京大学東洋文化研究所教授、中国法)
安田信之(関西大学政策創造学部教授、アジア法・開発法学)
の各氏に、コメントをお願いしています。

(3) 司会
青木人志(一橋大学大学院法学研究科教授、比較法)
山内進(一橋大学副学長・大学院法学研究科教授、西洋法制史)