日本において、流通過程に置かれるペット犬、及びそれらの犬を購入する飼主の保護は十分に図られていない。購入後に犬の健康状態に問題があることが判明し、犬購入者とペットショップとの間で紛争も多数起きている。  アメリカでは連邦・州レベルで犬流通を規制する。日本法とアメリカ法を比較することで、アメリカ法を座標軸として日本の動物愛護管理法制の充実度を測ることができる。また、アメリカにはあるが日本にない「パピーレモンロー」と呼ばれる犬購入者に適用される消費者保護法や、ペットショップにおける犬の生体販売禁止法の検討を通じて、日本の犬流通規制の解釈論と立法論の両面から改善策を探ることができる。  博士論文では、犬の福祉そのものを直接的に向上させる法制度に加え、犬購入者を保護することで間接的に犬の福祉をも向上させる法制度のあり方について、アメリカ法を参考に検討する。