平成29年司法試験の結果を受けて

平成29年司法試験の結果を受けて 

 平成29年司法試験の合格者発表が9月12日にありました。
 本年度の司法試験受験者数は,全国で5,967名であり,昨年より932名減少しました。
 全体の合格者数は1,543名であり,昨年の1,583名より40名減少しています。
 受験者に対する合格率は25.9%(小数第2位で四捨五入,以下同じ)で,昨年(23.0%)よりも約3%上昇しました。
 全体の合格率が上昇したことは評価したいと思います。しかし,20%台半ばの合格率が続いたことは,憂慮すべき問題です。受験者数が減少しているにもかかわらず合格率が伸び悩むとすると,法科大学院生・教員の関心が過剰に司法試験対策に向けられることになり,本来期待される学生・教員の活動を妨げ,ひいては職業としての法律家の魅力まで減殺するおそれがあると考えます。引き続き善処策が講じられることを希望します。

 

 一橋大学法科大学院の(今年の)修了生は,出願者131名,受験者121名,短答式合格者95名,最終合格者60名(既修者52名,未修者8名)という成績でした。受験者に対する合格者の割合は49.6%(既修者65%,未修者19.5%)です。昨年は49.6%(既修者61.7%,未修者28.3%)でしたから,全体の合格率は同じですが,既修者の合格率が上がり,未修者の合格率が下がりました。
 直近(平成29年3月)の一橋大学法科大学院修了者についてみると,既修者については,受験者60人に対し合格者42人(合格率70.0%),未修者については,受験者20名に対し合格者7名(同35.0%)でした。

 

 以上のとおり,一橋大学法科大学院の修了生は,本年度の司法試験においても健闘し,対受験者合格率では,全法科大学院中で第2位の成績となりました。修了生のみなさんの努力の賜物であると思います。

 

 合格された方には,心よりお祝いを申し上げますとともに,今後のご活躍を願っております。そして,みなさんの今後の活動によって,一橋大学法科大学院の社会的評価が一層高められることを期待しております。

 

 今回は不本意な結果に終わった方には,一橋大学法科大学院が,修了生に対してもさまざまな形で支援を行っており,今後もこれを続けることを申し上げます。困ったことがあれば,一人で抱え込まず,どうか遠慮なくご相談ください。

 

 この機会に,直接・間接に学生を支援してくださった関係のみなさまにも厚くお礼を申し上げます。

 

 法科大学院を中心とする法曹養成制度のあり方については批判も多く,さまざまな形での見直しが検討されております。そのような状況下にあっても,一橋大学法科大学院は,時代の要請に柔軟に対応しつつ,今後も良き法律家の養成に努力を重ねて参る所存でございます。今後とも,一橋大学法科大学院の活動に,ご理解・ご支援を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

 

2017年9月13日
一橋大学法科大学院長 小粥太郎